空腹を楽しむ「空腹健康法」について

「現代人は量的に食べ過ぎている、

少食にすることが健康長寿の秘訣」という理論があります。

朝食抜き、ランチ抜き、1日2食、1日1食なども、

「食べる総量を減らし、空腹時間を作る」という同じ考えかたです。

空腹になって、お腹がぐぅーっと鳴ると、

成長ホルモンが増え、若返り遺伝子、サーチュイン遺伝子が発動する。

その空腹を楽しめるようにしましょう、ということですね。


その少食法、間違っていませんか

私は、基本的には「空腹健康法」に賛成です。

ただ、=少食でありさえすればいいと捉えている人も散見されます。

 

1、ただただ量を減らし、代謝が悪くなっている

痩せたいと相談を受けた女性で、本当に少食の人がいました。

聞けば、「朝はヨーグルトだけ、たまにフルーツとか‥。

昼は食べないことが多くて、夜はビールとつまみで終わらせちゃう」

ということでしたが、彼女は明らかに太っていて体調が悪いのです。

彼女の場合、2つの可能性があると思います。

まず、自分では「食べていない」と言いながら、

日常的に何かしら菓子類をつまんでいる、その量が多い可能性。

もうひとつは、本当に少食すぎて、代謝が落ちきっている可能性。

「あまり空腹を感じたことがない」とも言っていたので、

あるいは、その両方かもしれません。

代謝量を上げ、消費エネルギーを増やすには、

まず、栄養のあるものをきちんと摂取するのが前提です。

 

2、食べるものの量ばかり気にしている

少食にしようと、その分の飢餓感を埋めるために、

カサ増しの工夫ばかりに先走ってしまう人もいます。

ノーカロリーのこんにゃくやキノコ類を大量に食べたり、

低カロリー、糖質オフの加工食品を揃えてみたり、

結局、それがストレスになって、続かなかったり、

反動がきてしまうこともあるようです。

白米に細切れにしたシラタキを混ぜて炊いて大盛り2膳食べるより、

発芽酵素玄米を1膳よく噛んで、美味しいおかずとともに食べるほうが、

ココロもカラダも、ずっと満足できるはず。

まずは、量を減らすことより、「何を食べるか」、

食べるものの質を意識するほうが、結果的に上手く行くと思います。

 

3、少食と不食と断食は違います

少食を突き詰めていくと不食という考え方があります。

全く何も食べなくても、プラーナ(空気中のエネルギー)で生きていける、

不食を実践しながら活動的に生きている人たちも実際にいるということですが、

それはそれで「なるほどなあ、そうかもしれないなあ」と思います。

(『食べない人たち〜不食が人を健康にする』など、

書籍もいろいろ出ているので、興味のあるかたは読んでみてください)

空腹健康法に興味のある多くの人にとっての目的は不食ではなく、

健康になること、痩せること、キレイになることだと思いますが、

不食の人たちにとって、少食、不食は断食のような我慢を伴うものではなく、

むしろ快適で自然な行為である点は、すごく大事なところだと思います。

少食=我慢ではなく、少食=自分にとってのベストな質と量の食事です。

そのベストを探るために、定期的な断食(年に1度の「3日断食」)をし、

飽食の生活で麻痺している摂食中枢と満腹中枢の機能を正常に戻すわけです。


自分に合った食スタイルをデザインしましょう

私自身について言えば、最近やっと、

自分にとってのベストな質と量の食事がわかるようになってきました。

 

わかったうえで、それでも、どか食い、ヤケ食い、ジャンクフード、

付き合い、深酒‥、つい外してしまうことも多いのですが、

それでもいいことにしています。

「少食、腹八分もいいけど、たまには暴食、腹十二分にしないと、

胃腸が怠けてキャパが小さくなっちゃう」と屁理屈をつけています。

「翌日は1食抜いてリセット」というようなことも特にしません。

 

「空腹を感じてから食事をする」というのも実際にはなかなかできません。

家族、職場、付き合いなどで、食事時間が決まってしまうことも多いです。

でも、空腹でないときの会食も、もちろん罪悪感なく、

積極的に大いに楽しむようにしています。

そして、たまに、空腹で、お腹がぐぅーっと鳴ることがあると、

「よし、よし」と得した気分になります。

たまたま、ランチをとり損ねたりすると、「ラッキー」と思います。

 

ダイエット期間を決めたり、「朝食抜き」「糖質制限」と掲げるのも、

それだけでストレスになってしまうので、常に意識するのは「素材食」だけ。

それですら、わかっていながら、できないことも多いのですが、

自分を責めたり、後悔する気持ちが一番カラダに良くないと思っています。

「空腹健康法」も、自分のライフスタイルに合わせ、

「成果を焦らない」で、取り入れてみるのがいいのではないでしょうか。