『嫌われる勇気』を読んで、ライフスタイルを変えよう!

ココカラ書店でも真っ先に紹介しているのですが、
『嫌われる勇気』は悩みを持つ人すべてに読んでもらいたい名著です。
「人は変われる」「いま、ここから幸せになれる」とする、
アドラー心理学を、対話形式で具体的にわかりやすく解説しています。
一言、一言、ハッとさせられ、読む手を止め、考えさせられ、
読み終えたときには、それこそ強度近眼の人が初めて眼鏡をかけ、
世界が急にクリアに見えたような衝撃的な感動でしたが、
ここでは3つの考え方を紹介したいと思います。

1、過去の「原因」ではなく、いまの「目的」で考える

「学校でのいじめがトラウマになって引きこもりになってしまった」、
こう考えるのが従来の心理学で、原因論です。
アドラー心理学ではトラウマを明確に否定し目的論で考えます
つまり、「外に出たくない」という目的のために、
不安や恐怖という感情を作り出していると考えるわけです。
いじめを受けた人がみな引きこもりになるわけではなく、
いじめがあったというその事柄を意味づけするのは、
あくまで、いまの自分だというのです。

私は、人生で一番ひどい挫折をしたあと、この本を読んだので、
正直、急には理解できず、混乱しました。
悔しくて情けなくてみじめな気持ちの原因を毎日考えていて、
負の感情が増幅し、「あんなにひどいことがあったのだから、
こうなるのも仕方ない」と自分自身に言い訳をし、不幸自慢、
劣等コンプレックスのスパイラルに入り込んでいました。
そのライフスタイル(性格、世界観)を変えようとするとき、
大きな“勇気”を試されます。
ライフスタイルを選び直す、変わることで生まれる「不安」と、
変わらないことでつきまとう「不満」の、どららを選ぶかです。
「われわれは原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めません」

2、誰かの期待を満たすために生きてはいけない

「他者の期待を満たすために生きているのではないし、
他者もまたあなたの期待を満たすために生きているのではない」
こう聞けば、当然のように思いますが、実際はどうでしょう。
親の期待を肌で感じ、周囲から求められるキャラを演じ、
仕事で評価されると頑張り、人や社会からよく思われたい‥、
ずっと何かしら誰かの期待のなかで生きてきたのかもしれません。
アドラー心理学では、すべての悩みは人間関係だといいます。
その、しがらみをほどいて、シンプルにする作業が必要です

そのためには、「課題の分離」という考え方が役に立ちます。

「これは誰の課題なのか」と考え、自分の課題と他者の課題を分離し、

他者の課題には踏み込まないようにします。
子供が勉強するかしないかは子供の課題で、親の課題ではありません。
「勉強しなさい」というのは、他者の課題に介入することなのです。
勉強するかしないか、その選択は自分(子供)の課題であること、
勉強する選択をしたら応援する準備はあることを、
親は子供に伝えればいい、そんなふうに考えていきます。
私が、自分の人生でできるのは、自分の信じる最善の道を選ぶこと。
その選択について他者がどのような評価を下すのかは、
他者の課題であって、私にはどうにもできない話です。

3、本当の自由、本当の幸せのために必要な感覚とは?

悩みのすべて、対人関係の入り口には「課題の分離」があり、
ゴールには「共同体感覚」があるといいます。
他者を仲間だと見なし、そこに自分の居場所があると感じられること。
そのためには、あらゆる「縦の関係」を否定し、
すべての対人関係を「横の関係」にすることが必要です。
「他者との間に、ひとつでもいいから横の関係を築いていくこと」
という一文を読んだときは、「えっ、ひとつ?」
「いくつかは横の関係もあるよー」と一瞬思いました。
でも、よく考えてみると、友達も縦の関係でとらえている面はあり、
そもそも縦の関係と横の関係を使い分けることはできないそうですから、
気づかないうちに、あらゆる対人関係を縦でとらえていたのでしょう。
ひとつでも横の関係を築ければ、そこからすべてが横の関係になる、
それこそライフスタイルの大転換です。

「目的論」、「課題の分離」、「横の関係」もそうですが、
読んでいると、理論はいたく納得し、心から感動するのですが、
いざそれを実践することは、なかなか難しいものです。
一説には、アドラー心理学を本当に理解して、
生き方まで変わるまでには、
それまで生きてきた年数の半分かかるのだとか。
つまり、48歳で読んだ私は24年かかって、
70歳を過ぎてやっと自由に幸せになれる計算になります。
(もちろん、もっと早く実践する気満々ですけれど)

最後に、私が、この本を読みながら、
「私ノート」にメモした一節です。
・人生とは連続する刹那
・われわれは「いま、ここ」にしか生きることができない
・「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てていたら、
 過去も未来も見えなくなる
 →いまできることを真剣かつ丁寧にやっていく
・人生はつねに完結している
・世界はシンプルであり、人生もまた同じである