聴力の衰え

老眼に比べ聴力の衰えは気づきにくいのですが、

やはり確実に迫ってきているのを感じます。


私の両親は80代ですが、

父は70歳ぐらいから、母は最近になって、

とにかく聴こえなくなりました。

トンチンカンな聴き間違えがおかしくて、

最初はメモをしていたのですが、

問題はそこではないのです。


第一に、音量自体が聴こえなくなること。

例えば玄関から「ただいま〜」と叫んでも、

以前は聴こえたものが今は聴こえない。

歩いていて後ろから車が来ても聴こえないのは、

とても危険なことだと思います。


第二に、会話のところどころが聴こえないこと。

聴き取れる単語はあっても、聴き逃すところも多く、

最も恐ろしいのは、その自覚が低いことです。

同じテレビを見ていても聴き取れないために、

「え!?」と思うような理解をしています。


第三に、これは視力の低下にもいえることですが、

聴いたことが脳に行くまで時間がかかること。

会話をしていて、明らかに反応が遅くなっています。

5秒、ひどいときは、30秒ぐらいしてから、

「ああ、あのことね」と意味を理解します。


両親と会話をしていると、

言いたいことがなかなか通じなかったり、

あまりにズレた内容が戻ってきたりで、

つい面倒になってしまいます。

でも、それが50歳の私にも始まっているのです。


例えば、パーティのような集まりや、

居酒屋のような騒がしいところで、

友達の声が聴き取れず、聴き返すのも面倒で、

曖昧ににごした返事をしてしまうことがあります。

「〜〜〜だねぇ」と言われたら、

「うん」とも「ううん」とも取れるような笑いを浮かべて、

相手に妙な顔をされます。

あとになって、「あ、〜〜〜と言われたんだ」と、

つじつまがあったりします。


レストランやスーパーなど公共の場所での会話は、

パターンが決まっていることも多く、

よく聴こえなくても、そのつもりで返事をしてしまいます。

レストランで食事の最中に店員さんが笑顔で話しかけてきたら、

「お飲物のおかわりはいかがですか」と思い、

「まだ結構です」と手を振ると、怪訝な顔をされます。

あ、「メインのお食事はいかがですか」と言われたんだと気づき、

慌てて「美味しいです」と答え直したりします。


曖昧な返事はしない。集中して人の話を聴く。

聴力の衰えにも意識的に抵抗していかないと!と思っています。